この記事では東京出版の大学への数学シリーズ『1対1対応の演習』についての、私なりのレビューや感想を書いていきます。
演習書タイプの中では有名な参考書で、大学入試数学の重要かつ典型的な問題の例題と演習のセットになっています。
各単元の最初に、その分野の定義や公式のまとめはありますが、細かい証明などは省かれています。代わりに「ミニ講座」などの入試で役立つ深い考察の話や、よくやる間違い、入試の裏技的な知識などの話が間にちりばめられており、数学の基本知識が身についていて、教科書レベルの内容が一通りこなせた後に受験レベルの勉強をしようと思う人に最適の演習書と言えます。
※ 参考書の使い方についてはこちら
レベル | 入試基礎レベル~入試標準レベル |
用途 | ・教科書レベルの基礎固めを終えたうえで入試レベルへの橋渡し ・標準レベルの典型問題とその解法の一通りの網羅 |
特徴 | ・教科書レベルの計算問題はほとんどなく、問題もほとんどが入試問題からの出典。 ・例題とその解説の間にアプローチの方法や着眼、知識の説明などがされているので、それをしっかり読むことも大事。 ・解説は比較的コンパクトにまとめられているため、行間の計算を自分で埋める必要がある部分もあるが、それも良い訓練になる。 ・ミニ講座も非常に役立つものが多い。 |
対象者 | ・教科書の内容が一通り理解でき、数学の記述試験が必要な受験生。 ・学校の数学の授業に余裕でついていけていて、理系や経済学部への進学を考えている高1、高2生。 |
収録されている問題のレベルは、青チャートやフォーカスゴールドの基礎問題や簡単な計算問題を除いた部分と同じくらいのものくらいの問題です。青チャートとの決定的な違いは、1対1対応の方は演習書なので、ある程度の内容を絞っていることと、やや数学が得意もしくは基礎固めができていることが前提となっていることです。
そのため、数学に苦手意識がある人や計算レベルから卒なくこなしたいという人は、1対1対応ではなく、青チャートをやり込んでいくことの方がオススメで、その場合はこちらに手を出す必要はありません。
基本的には受験生向けなのですが、表にも書いた通り、学校の数学の授業が余裕でついていけていて、大学受験を早い段階で考えている高1、高2生がやるのもありだと思いますが、「さすがにいきなり受験レベルはちょっと…」と敷居が高く感じる場合は、とりあえず1対1対応シリーズよりも優し目のプレシリーズ(下のリンク)でも良いかと思います。